頭蓋骨縫合早期癒合症<7>

CTの撮影も終わり、
はじめに入室したライオンの診察室の前で待つ事、数十分。
病院も静かになった17時前、名前が呼ばれました。
宮川さんと3人で入ると、さきほどの男の先生に加えて、
若い女性の先生もいらっしゃいました。
スクリーンには頭蓋骨のカラー写真が2枚、写されていました。

男性の先生の言葉は、少し不思議な言い方でした。

「前の病院で頭蓋骨縫合早期癒合症の疑いとのことで、
こちらの病院にお越しくださいましたが」
と前置きをされました。
その前置きを聞いて、
「やっぱり朱茜は疑いで済んだんだ」
と思いました。
でも男の先生から出た言葉は
「頭蓋骨縫合早期癒合症です」
でした。

まず、私は、接続助詞の使い方がおかしい、と思いました。
私は普段仕事で、文章の書き方の指導をするので、
言葉の使い方には敏感でした。

そして男の先生は、カラー写真を指差しながら、
説明を続けられました。

私は写真を見つつも、
この写真は、誰の頭の画像なんだろうと思いました。
とても綺麗な画像だったので、なにかのサンプルの写真かと思いました。
でもそれは朱茜の写真でした。

先生はどこに異常があるかと説明してくださいました。
そして若い女性の先生に指示して、
朱茜の頭を四方そして上から
撮影をされました。

続いて、手術の説明になりました。
「僕は実は非常勤なので、さきほど部長の先生に連絡を取った。
スケジュールは詰まっているが、早くて今月、遅くても来月
日程を空ける、とのことでした」
と伝えられました。

わたしは「よくわからない」と思いました。
黙っていたら宮川さんが男の先生と話をしてくれました。
何を話してくださったのかはよく覚えていないけれど、
「手術以外の方法はないか?」ということをはじめ、
私が思っているであろうことのほとんどを尋ねてくれました。

今の頭蓋骨に隙間がない状態では、脳が十分に大きくならない
可能性があること、発達に障害が出る可能性があることなどを
説明されました。
ネットですでに読んだことでしたが、
それが朱茜のことと言われても、
うまく理解できませんでした。

私も何か喋らないと思って口を開くものの、
言葉が出てきませんでした。
やっと出た言葉は「そんなにすぐですか?」という質問でした。
男の先生は「早い方が絶対にいい」と断言されました。
「絶対ってどういうこと……?」と思いました。
「あまりにもとんとん拍子で診断されて、すぐに手術と言われて……」と
絞り出すように言うと、
「トントン拍子だからいいんです」という意味合いの答えでした。
何も言えなくなって、黙っていたら、
「何かありますか?」
と尋ねられたので、
「頭の手術なんて、すごく怖いです」
というと、
「そうですね」
と言ってくださった上で、
手術についてわかりやすく説明してくださいました。
でも私の頭は、先生の言葉を理解することを拒否しているようでした。

私はだんだん何を言っているのかわからなくなり
「宮川さんと京都の病院に行って、安心するために
ここに来て検査をしたのに、手術だなんて……」
というと、
「朱茜ちゃんにとって、最善の方法を考えてください」
と言われました。
それ以上話したら泣けてくる、と思ったら、
すかさず宮川さんが
「もちろん考えての質問です」
という言葉を先生に言ってくださり、
私はもう話すことがなくなりました。

結局涙も出ず、表情はきょとんとしていたと思います。
手術の説明を受けるため、次の予約を取ることになりました。
次の予約は6日後。夫がこれる日になりました。

 

・・・・
朱茜の頭蓋骨縫合早期癒合症の治療記録は、
母であり治療家としての、成長と学び、
同じ悩みを持つお母さまの参考、そして希望につながればと思い、
残しています。

読んでくださり、ありがとうございます。