百貨店で美術展の企画などをしていた岩田氏。縁あって箱根ガラスの森美術館の館長となった。
箱根ガラスの森美術館は、入場者のリピーター率50%という稀有な美術館。
美術館なんて興味がない父親が「“前に一度来て良かったらまた”行きたい」という。
珍しいことを言うなぁと思って行ってみると、ここ本当に美術館?と言うほど、賑わっている。
そして美術館特有の神妙な顔はなく、みんなテーマパークで遊ぶように見学している。
目玉商品とか特にないのに。
「国宝」とかないのに。
「美しい」という感覚だけでみんな盛り上がっている。
最近の私の知りたいことは
【人はどこで感動するのか】
この美術館に興味が湧いたので、館長さんが書かれた本を読んでみました。
岩田正崔『藍の言葉 箱根ガラスの森美術館のひみつ』(株式会社世界文化クリエイティブ、2016)
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本の目次、心に残った言葉など第一章 火山の麓こそヴェネチアン・グラスがふさわしい(これは読み飛ばした)
第二章 五感で楽しむ美術館
第三章 箱根の四季が美術館を彩る
第四勝 展覧会の企画はこうして生まれる
第五章 「作品+人」で美術館は成立する。
・・・・・
「火山がなければ箱根はない」
「私が考えヴェネチアン・グラスの楽しみ方をお話ししましょう。まずは展示品の中からじぶんが好きな作品、気になる作品をみつけることです。インスピレーションで選んで構わないのです。気になる作品が見つかったら、その作品の全体の構図やデザインをみて、何が自分に訴えかけてくるのかを考えてみる。もっと興味が湧いてきたら、解説をよんだり学芸員の説明を聞いたりして、その作品の生まれた背景を理解していく。」
「まずは自分の好きな作品と出会うこと」
*こういうことをていねいに続ければ、ものをみる目が深まっていく。
「「たくなる美術館」とはなんだとおもわれますか?これは「~したくなる」の「たくなる」です。この言葉の裏側にあることをずっと考え続けています。」
*会いたくなるひと、話したくなるひと。
「自然の変化ほど力強いものはない」
「美術館はお金儲けしなくて良いという誤解」
「美術のためにお金のいい循環を作る」
「スタッフの個性を発見できるか」
・・・・ちょっと感想・・・
美術館は、美術のためにお金を回さないといけない。
美術でお金を稼ぐことは必要なこと。
はっきり書かれている。
日本人って
お金を稼ぐこと=卑しいこと
特に文化でお金を稼ぐことは一層卑しい事と思っている
節があるのではないか。
けれどもそれを是として話を進めていくのが、この本の展開。
箱根は火山の影響を受ける。火山活動が活発になれば、客足も遠のく。
他にも灰の問題とか、色々とあるんだろう。けどそのような
自然と付き合ってこその箱根の美術館。そう言う意識が大事なのかな。
そして自然の移り変わりを見ているのも素敵。
またここではガラスに関する知識を説明することはない。
キャプションもほとんどない。
ただ「綺麗」においてあるだけ。それがまた新鮮。
だからこそ「あなたが好きな作品を」と言える。
知識は、得たい人が得ればいいもの。押し付けることはしない。
多くの美術館が「美しい」と言う感覚をよりも「評価」に傾倒している昨今、
「美しい」という感覚のみで鑑賞しようというガラスの森美術館は、
逆に新鮮で面白い。
知識と感性が絡み合ってみることができたら、自分で観る力がつくんだろう。
ちなみにその後ポーラ美術館にも行ったんだけど、
そこにあったパネルも素敵だった。
頭も使うが、感性も存分に使えるように。
社会が豊かになるように。
人の心が強くなるように。
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